古くは「源氏物語」に「室礼」の文字を見ることができます。 ということで、「平安時代」が始まりとなります。
中国の文化が「貴族の儀式文化」として日本において定着しました。
中国思想を通じ、
室礼は最初は儀式の場を作る空間として機能しました。
主に「寝殿造」において柱だけの解放的な空間を「御簾」(みす)「几帳」(きちょう)「壁代」(かべしろ)などのカーテン類、屏風や衝立等のパネル類、建具の障子などで仕切り家具や調度品を配置し日常生活や儀式の場を作ることから始まりました。
その後「室町時代」を経て、「鎌倉時代」には「武士の儀式文化」へ と移り、「床の間」が中心となり、「書院造り」は、儀礼的要素が強まりました。この武士の時代に出てきた「お茶の文化」が中国とは全く違う日本的な空間様式の室礼が確立します。
利休の「わび、さび」文化の始まりです。現在もお茶室の室礼は変わらず続いています。
その後「江戸時代」を経て庶民たちが武士の行事を取り入れ、今に繋がっています。行事は武士から庶民に広がり、今の形に近づきます。 中国から入ってきて、自国の文化として定着したのが「室礼」です。
伝承されててゆく四季の行事と室礼をもう一度再考してみましょう。
「お正月」に始まる五節句、 「桃の節句」「端午の節句」「七夕の節句」「重陽の節句」
「七五三」「成人式」「結婚式」「銀婚式」「金婚式」などの
人生儀礼行事、祭事において室礼は、その空間を祝福と祈りの空間に転換させる日本文化であることが分かります。
貴族に始まり、庶民の習慣として今に伝えられる「室礼」は時代の中、戦争によって中断し、途切れました。
庶民から遠い旅館や料亭にささやかに残りましたが、個人の家には習慣として、意味を知ることなく伝えられています。
日本人として、「室礼」は「日本の精神性と美意識」を伝えるものです。形骸化された文化でなく、日本人として伝えるべき「精神」を私たちがこうした歴史から子供達に語り続けていきたいものです。
【室礼(しつらい)とは、3つの調和で成り立つ】
1)いつ?季節(二十四節季)
2)どこで?(家、仕事場)
3)何を誰のために祈るか?(自分の家族、友人、お客様)
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