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山上 絹代

【コラム】三月十一日の室礼


本日は毎年しつらえているもの。

三月十一日の室礼です。

[あの日を忘れない] (絵)栗と柿を使い、

[苦しみ離れて、喜び来たる]という祈願の室礼です。

お道具はインドネシアの船のオブジェを主体として、西方浄土に魂を運ぶ船に見立てました。舳先には[菜の花]。菜種油が取れる花なので、[灯りの道標]の見立となります。

蛤は一対しか合わないことから、また再び夫婦や兄弟、親族として出会えますようにとの願いを表し、升に入ったあられは亡くなった方々の魂に見立てました。

その隣に寄り添う達磨大師は、残された家族の苦しみを慰める為に魂を導きます。

魂を光の元に返すことで、残された方々の苦しみが離れ、また新たな喜びがやってきますようにと祈ります。

このように、室礼には、人の悲しみに寄り添い、祝福を祈願する表現が基層にあります。

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