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  • 山上 絹代

【コラム】室礼(しつらい)とは?


1. 「室礼(しつらい)とは?」

室礼とは「おもてなしの空間を演出すること」であり、「季節を楽しむ技」のことです。一年目の節目、人生の節目に、「もの」に「言葉」を重ね、心を「盛る」ことを室礼といいます。

 古くは源氏物語に「室礼」の文字を見ることができます。平安時代に中国の文化が「貴族の儀式文化」として定着しました。

時代を経て、お茶やお花とともに日本文化の基層となり、「しつらえる」という言葉にかろうじて記憶されています。

 利休の時代には、僧侶たちがプロデューサーやコーディネーターとして活躍し、男性たちがおもてなしの舞台で仕事をしていたようです。当時は男性が漢字、女性はかなを使用したことから、漢字で「室礼」となりました。

※鎮魂の室礼

これは毎年3月11日に東日本大震災を鎮魂する室礼

です。後方の柿の絵は[柿]の絵で[喜び来たる=嘉来]と見立て、お多福の面で福が来るとします。左の赤べこは福島の民芸品で、じっくり、ゆっくりを表す赤ん坊のお守となるものなので、幸せがゆっくりと少しずつ新たな福を連れて来ますようにとの祈りの空間となります。

2. 室礼の8つの基本要素「室礼八索」

(1)中国からはいってきた「陰陽五行思想」が基本になります。

陰陽和合から創造されるとします。相対する二つの気が和合、循環して万物の生成、消滅の変化をもたらす。

「男性」と「女性」「太陽」と「月」

人が生きるために必要な「5元素」、多様性とその変化の順序を五つの性質で表す万物形式の五気。「木・火・土・金・水(もっか・ど・こん・すい)」を元に考える。

例えば、床の間には木(花木)、香炉の灰(火)、土(花瓶)、金(香炉)、水(花瓶の中の水)の5つで「五行」の宇宙がある。

(2)季節を語る。一年の節目、人生の節目に「言葉を盛り、心を盛る」繰り返し行い、「事を行う」から「行事」となった。

・季節を盛る

・言葉を盛る

・心を盛る

*「盛る」とは盛んな状態をいう

(3)「おもてなしの空間」を整え、お客様に「料理をふるまう」こと。

(4)旧暦をもとに、「二十四節気」、「六曜星」で「おめでたい日」

「おもてなしの日」を設定する。(現在の結婚式の日取りに使用)

(5)「目に見えないものと対話する。」

古代思想の「山の神、田の神、火の神、水の神」や正月にお迎えする「年神」(目に見えない存在)神・仏・先祖への「祈りと儀式は見えない存在である神との対話であり、現世より天界に対してのおもてなし。「祭り」(神への感謝)や「お祝いの席」は「ハレ」、日々の仕事に明け暮れる日常を「ケ」として明確に区別してきました。

(6)モノやお道具を使い、「おもてなしの心」や「言葉」で「見立てる」

①「料理の具(材料)」は、「人の命を保つ具」、「道具の具」は「人生の道を教える具」である。

②お道具は「三通り」以上使えるものとする。要するにモノの「多様性」と「己の知恵」を養うこと。

③お道具箱に振り回されず、「使いこなす技を磨くべし」

(7)「飾る」のではなく、「しつらえる」と表現する。

 「室礼」は大和言葉では「しつらい」

(8)室礼では言葉を「二重に重ね」て「言い換え」をしている。

「柳」=「屋内屋」(やなぎ)

「柿」=「喜び、来る」で「嘉 来」(かき)

「梨」は「無し」に通づるので「有る実り」として「有りの実」

「擂粉木(すりこぎ)」は擦って無くなるから「当たり棒」

「竹」は「ちく」だから、「しゅく」で「祝」(いわう)

このように「嫌な事」を「良き事」に「変換」する技能が日本文化にはあります。

宴会を「終わる・閉じる」のに「お開き」というがごとく、あくまでも「おめでたい」ものにする「気遣い」の精神性が「変換する技術」を向上させたものです。

3.室礼は、貴族から武士へ、武士から商人や庶民に移行していきました。

「現在の室礼」は「お茶」や「お花」の世界にかろうじてその影を残し、高名な料亭や伝統ある旅館など(京都の俵屋など)に、季節の行事「室礼」として「特別な空間」になっています。

 私ども「暮らしの伝承文化研究所」においては、「室礼」を「特別なもの」とするのではなく、「日本文化」として学びながら、「日本国民の遺産」として伝承していくものであります。

一般庶民の生活に「和の空間」、「おもてなし和座」を伝承していくための機関です。時代が変わり、マンション生活になったとしても、室礼は「多様性」があるので自由自在です。

街並みに、風情なる室礼がしてあれば、入ってもみたくなる。帰宅して、玄関に季節の室礼がさりげなくされていれば、心和みほっとする。日本人として、伝承されるべきは、自国を誇れる「美意識と精神性」です。

「暮らしの伝承文化研究所」は世界に誇れる日本文化を語り続ける「語り部」たちの学び舎です。親であり、祖父母である私たちこそが「語り部」にならなければ、足元の宝に気づかない子供たちに育ちます。70代、80代でも間に合います。

知らずに死ぬか?知って、伝えて、死んでゆくか?あなた次第で子や孫が真の日本人に成長し、社会に貢献する人になるのです。今こそ「学び、語り、残し」ましょう。

室礼とおもてなし和座(技)

室礼とは、季節を楽しむ空間演出であり、人生行事である七五三や五節句(正月、お雛さまなど)の儀礼文化でもあります。しかし、現代において、室礼を理解することが分かりづらいのが現実です。

そこで「おもてなし和座(技)」としてみました。「おもてなしの心で和の座をつくる」、「おもてなしの心を磨くこと」という意味です。研究所は、おもてなしの心の「和の座」と「技」を磨く学び舎です。

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