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山上 絹代

【コラム】ひなまつりの室礼


 やっと雪も溶け、日中の日差しが柔らかく春の兆しを感じる善光寺表参道です。

 十二天のショーウィンドウには、東京ではすでに姿を消されたお雛様が設えています。

 長野は旧暦のお雛様なので、一ヶ月遅く四月三日まで飾ります。地方は旧暦で行事や室礼が執り行われるので一ヶ月遅れます。 東京からのお客様が驚かれますが、そんな時少し得した気分で、長く設えるこの時期を楽しみます。

 長野では、二月の灯明まつりが終わるとお雛様を出して、早めに楽しむ方が多いようです。

 十二天の表の室礼は、毎年「青鞜(せいとう)」をテーマに二月堂と呼ばれる文机の上に緑の布を掛けて置き、山に登っているお雛様に見立てます。

中国からきた風習で、長い冬から解放された人の心の穢れを野山に登り、祓い清めるために山に登り、野草を摘んだそうです。

 古代から、三月は冬から解放された喜びが、お雛様に重なるようです。

 ちなみにその時携帯したのが、「雛あられ」だそうです。 外に持ち歩き食べたランチ(携帯食)というのも、今の私たちがポップコーンを食べるに似たものかもしれません。

 もうひとつおまけに、「青鞜」の青は、緑のことです。「青によし奈良の都は・・・・」と同様に、青は緑のこと。 緑豊かな奈良の都という意味。ですから青鞜とは、緑を踏む(山に登る)という意味になります。

 青葉も同じ意味(緑の葉)です。今年も十二天の店内には小さなお雛様や、大きなお雛様まで華やかです。

 カフェでは、十二天ブレンドほうじ茶と鯉焼きをセットでお出ししています。 鯉焼きは藤田久右衛門店の花豆のあんこの可愛い鯉焼きです。まさに「お雛様の恋」にちなみました。私たちも人生で一度?お雛様になれるのは、小さな恋をしてからですから。

 さあ、春よ来い(鯉)

 冬から春へ、何かが始まります。新しい季節が!

 そして新しい恋も💕ね。

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