「心のお湿りを楽しむ。」
立春から数えて136日目、芒種から5日目を『入梅』として、
この日から約一ヶ月が、「梅雨」となります。
日本の四季に欠かせない大切な季節。
雨が多ければ、確かに不便だったり、身体がだるかったり、
暗いイメージの梅雨ですが、年を取ると少しだけ、
梅雨に対する考えが変わりました。
お嫁に来たころのこと、商家から農家に嫁いだ私は知らないこと
だらけでした。
嫁いで、初めての梅雨の季節に、お姑さんが雨が降る度に、
嬉しそうに、「有難いね。良いお湿りだ。良かったよ」と言うのを聞いて、
若い私は困惑したことを苦笑しながら思い出します。
あれから長い年月が過ぎて今年90歳の義母の言っていた意味が
分かる年代になり、あの時の義母の言っていた作物が実るには、
雨がどれほど重要かが理解できます。
梅雨時が良いお湿りなのは、人間も同じだと、この頃感じます。
連休の騒ぎが終わり、疲れもピークに達し、外出も控え静かに暮らす日々。
人も年が明けて半年、気も枯れてきた頃、6月30日は
「大祓(おおはらい)」となります。
まさに6月は水で「穢れを祓い浄める」そんな月なのでしょう。
ですから室礼は水に関する浄めの見立てとして、硝子の鉢に紫陽花を
浮かべたり、手拭いの流水文様の上に小皿を置き小豆を盛り(小豆は魔除け)ます。
梅雨の室礼になります。
シンプルに、涼やかさを基本にします。
次回はお菓子による、6月の行事をお話ししましょう。
大祓の行事は6月の最終日です。お楽しみに!