四月の室礼 (穀雨)
二十四節気では、4月20日頃を「穀雨」(こくう)と言います。 雨がすべての穀物を潤すから「穀雨」と読んで字の如し。
農業を営む人たちにとって、雨に恵まれるこの季節は収穫の期待にホッとされる季節です。
この季節をそんな思いで感じられるのは、四季のある日本だからこそです。
またの言い方には、「春雨」(はるさめ)。風情のある言い方です。
「三寒四温」とは、「寒の戻り」のように寒くなったり、「小春日和」のように急に暖かくなったりしながら、春から初夏へ移りゆく日本の季節の営みです。
穀雨には、花粉も緩み、目のかゆみやくしゃみに悩む人々には、ホッとされる頃。
それこそが「慈雨」(じう)、優しい雨となり、「菜種梅雨」(なたねつゆ)とは、春雨が長引き菜の花も腐ってしまうほど(くさくさする)の意。
このように、 雨にはこれだけ深くて、多様性に富んだ表現があるのです。中高年では知ってる方も多い言の葉。若い方は、知っておくと、大人たちの一目を集められます。お試しあれ。
さて今月の室礼は、例年より早いお花見も終わり、桜も散って、宴の後の寂しさを形にしましょう。
材料は最近スーパーにも出回っている「ウド」です。
漢字で書いたことありますか?
「独活」と書き、「一人生きる」という意味。この独活が入る容器は、ガラスでも(ビアカップのようなものでも代用)、陶器でもよいのでお花のようにお水を入れて活けます。
そして、「空豆」をお椀に三つほど入れ、独活の前におきましょう。さやの先が天に向かって伸びるので「空豆」といいますが、また他の名称では「天豆」や、サヤが蚕に似ているので「蚕豆」とも書きます。
独り立ちしてゆく子を祝い、子供の成長を祈る親の室礼です。
また小さな鳥の置物を置けば、飛び立っていった我が子(巣立ち)を表し、空豆(蚕豆)がこれから広がる我が子の未来を暗示させます。
敷物は黒のマットを2枚使いずらして、上から撮影。
黒のマットに、緑の独活(ウド)と空豆の緑とお椀の赤が映えます。鳥は陶器でも、鉄ものでもあるものを使用してみてください。
旬のものを使って季節を表現してみましょう。
親にとって、入学、就職されて、ホッとするも、心配も出る頃です。こうして「祈る室礼」で心穏やかに過ごしましょう。
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