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  • 山上 絹代

【コラム】小暑の室礼


「小暑ー七夕の室礼ー」

梅雨が明けたかと思ったら、まだまだ明けきってはいないようです。

日本中が雨の被害で泣いている。記録的な大雨が続きます。

長野市は山に囲まれているせいか、いつもは台風も被害はそれほどではないのに、今回は様子が違います。それでも山に囲まれたありがたい地形です。

ニュースを見るたびに、各地の被害に遭われた方々の不安が早く安堵されることを心から祈ります。梅雨明けて、空が晴れ渡る日を待ちわび、手を合わせます。

そして、今日は七夕です。

長野など地方では8月7日が七夕行事。

昨日は善光寺大門の「ももとせ」さんの二階でワークショップでした。

「門前の手習い」と題して始まったばかりのこちら「ももとせ」さん。古くからのお蕎麦屋さんから、新たに「ももとせ」として今年の3月にリニュアールしたお蕎麦屋さんです。

角地のよさで、善光寺の仲見世通りの一等地。松の緑が鮮やかに、窓から見える景色は雨上がりのせいか、木々の緑が目に鮮やかでした。室内も明るく、おしゃれなカフェのようなインテリア。

一階はひっきりなしのお客様です。二階は静かで、窓が大きいせいか、善光寺の参道が見渡せて素敵です。

10時に始まり、参加者は6人ほどで少ない。昨夜の災害警報で来られない方も多いようです。

室礼は、「目に見えない神や先祖の霊をもてなし、祀る」という話からはじまりました。

ところで、6月30日に「夏越の祓い」が全国の神社で行われました。私はいつも西宮神社で大祓をします。

人形(ひとがた)に切った和紙に名前を書き、体の具合の悪いところを撫で、神社で祓い浄め、海に流します。

半年の穢れを「水」で祓ったのです。

そして、7月7日の本日「小暑」は、「七夕」でもあります。

「七夕」と書いて「たなばた」とどうして読むか?知っている方は、いらっしゃいませんでした。

「室礼」とはそういう日々の暮らしで知っているようで知らない行事や風習を読み解き学ぶもので、ある意味歴史クイズのようになります(笑)ここで盛り上がるところです。

では「たなばた」の答えは、

古代日本に、村の厄害を祓ってくれる天帝の神衣を水辺で織っていた巫女のことを「棚機津女(たなばたつめ)」と呼んでいました。そこから、行事として7月6日の夕方から7日の早朝まで行うので「七夕」、棚機津女の「たなばた」を当て字したということです。

この棚機津女は水辺で天帝の衣を織っていた。ここにも「水の祓い」があり、笹に願いを託した五色の短冊も水に流します。6月、7月に水で穢れを祓うのは、この時期に「疫病」が流行ったことがうかがえます。そして8月のお盆には「山の神」が里に下り、「祖霊(先祖の霊)」が家に戻ってきます。

つまり、「祓い清め」は日本の精神性であり、おもてなしの前の「水の祓い」を重要視しました。

中国伝来の仏教(火の浄め)と共に私たちの生活に風習として今も伝承されているのです。

ですから、テーマは「水の浄め」です。6月30日の大祓から、七夕はお盆の準備(浄め)、

お盆は山の神や祖霊をもてなします。

今回は風祓いの松本の紙人形でしつらえ、小さなお雛様を金平糖の天の川に配しました。

日本中が浄められた後には、再生力の強い日本の底力が見られることでしょう。そして今宵、天の川で織り姫と彦星が出会えますように祈りましょう。

2時間の中では中々教えきれないのですが、今回の生徒さんたちは、とても理解力高く、素直に納得されていただきました。特に「お床の間」の話でかなりの「アンビリーバブル」で、青ざめる方が続出(数人なのに?)講演会などで、最初に話すことです。

「室礼」において、「お床の間」は「神様のお座席」ですから、お床の間に物を置いたり、収納具を置かれているということは「神様が座れない」ので、「福」が入ってこないことになります。

と言ったとたんに、みなさん必ず青ざめられます。思い当たることに慌てる方が多いのですが、そこから「室礼」が始まります。

そして、次のワークショップにはみなさんのそれぞれのお床の間を写メで撮ってくるとの声が上がり、次回までの宿題になりました。「しばらくなかった宿題」に結構楽しそうに困っていらっしゃいました。(笑)

最後に「ももふく」さんの美味しい「お蕎麦ランチ」で締めくくりました。

お蕎麦の盛りもよく、野沢菜漬けのかき揚げ丼がいい塩加減、デザートにくるみの柚餅子とオリジナルのきな粉のプリンは贅沢なお昼膳でした。学んだ後の脳の疲れが弛緩してゆくのがわかり、デザートの程よい甘さに和みました。

また本日のお土産には、山上紘山の墨書(手書きの短冊)「一茶の七夕の句」を持ち帰られました。

3,000円で盛りだくさんのワークショップでした。

次回はもう梅雨も明けた7月20日(午前10時~)です。

 「葉月(八月)の室礼」

 「お盆のおもてなし」

【室礼(しつらい)とは、3つの調和で成り立つ】

1)いつ?季節(二十四節季)

2)どこで?(家、仕事場)

3)何を誰のために祈るか?(自分の家族、友人、お客様)

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