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山上 絹代

【コラム】「衣替え」「芒種」の室礼


「衣替え」「芒種」

六月一日、制服のある学校や企業などでは、衣替えを行います。

私は毎年この日の室礼に、紫陽花(あじさい)使って 「衣替え」の見立てをします。

さてその意味は?

紫陽花は土の成分によって花の色が変わります。

花言葉も「心がわり」です。

ですから、衣服が春から夏へ変わるこの日に紫陽花の花を しつらえて、衣替えに見立てるのです。

この時期の紫陽花の色や種類は多くありますが、個人的に やはり青い額 紫陽花などが涼やかで好きです。

水色は「水の色」という言葉が縮まって「水色」となった ように、この月「六月」は「水無月」(みなづき)といいます。

これも水色と同じように、水の月という意味で、「無」は「の」を意味します。

梅雨入りの季節に、水が「無いはずは無い」ですよね。

室礼には、「浮かし花」にして、ガラスの花器に、花に数枚の葉を残し、短くバッサリ切り浮かします。

お庭に咲いてれば数日間切っては使えますが、無い方は、鉢植えで沢山の花がついてるものを買い、一つずつ切っては使い、鉢植えには毎日水やりしてもたせます。

そして、六月六日は二十四節気の「芒種」です。

芒種とは「穂が出る穀物の種を蒔く」という意味で、 農家ではこの頃を種まきをする時期の目安にしてきました。

この「芒種」をテーマにするなら、お道具は「稲穂」と「酒徳利」でしょう。

日本には「予祝」(よしゅく)と言って、

未だ成っていないのに「成った」として 「祝う」という行事があり、もとは農耕儀礼なのです。

秋の収穫が豊作であるとして前祝いの行事をするのです。

「希望通りの結果を出すために模擬的に表現すると その通りの結果が得られる」という俗信にもとづいています。

ですから「稲穂」を使うというのも収穫したという表現であり、 大きめの酒徳利に稲穂をタップリさして収穫と祝宴を 表現するのです。

この場合、「芒種」という「二十四節気」季節を表します。

ところで、現在の私たちには、農業だけでなく多岐多様な 職業があります。

そこで、息子や娘のなりたい職業があるなら、その予祝行事 として室礼をしてみましょう。

例えば、お嬢さんが美容学校に入学した場合、祝いの席の空間 (床の間、リビングのサイドボードの上等)に 「美容師を目指しているなら」、お盆の上に和紙を敷き、 真新しい鋏を赤い布を下にして和紙の上に置きます。

(鋏の先を赤い布で包み、持ち手は見せて)白い和紙と 赤い布で紅白に美容師に成ったという模擬表現をするのです。

弁護士になりたいなら、「六法全書」、大工さんなら「カンナ」、 画家なら「パレットと筆」など。

ご自分のアイデアで、喜びの席を華やかに演出してみましょう。

姉妹兄弟のために、恋人に、家族のために。

「室礼」とは「おもてなしの和座 (技)です。

相手に「思いをやる」、「持って、成す」行為です。

(思いやりともてなし)その思いを表現し、演出して 人を楽しくする技を磨きましょう。

「目指せ、伝承語り部老人。長寿国日本の未来は明るい!」

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