立夏(皐月) の室礼 ー端午の節句ー
五月は「皐月」(さつき)ともいいます。
耕作を意味する古語「さ」から、稲作の月として「さつき」になりました。または、早苗(さなえ)を植える月「早苗月(さなえづき)」が略され、「さつき」になったという説もあります。
「早苗」の「さ」も、耕作の「さ」が語源とされます。
漢字の「皐」には「神に捧げる稲」の意味があるため、「皐月」が当てられたようです。
今年は5月5日が二十四節気の立夏(りっか)ですが、「夏が立つ」というのは、、夏の始まりをあらわします。
立春、立夏、立秋、立冬とありますが、それぞれ4つの季節の始まりの名称です。
四季のはっきりした日本ならではの言い方です。
初夏の日差しに、緑が深まり心も体も開放される季節、今回の室礼テーマは、
五節句のひとつ「端午の節句(たんごのせっく)」です。
*五節句(1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)
端午(たんご)の「端」は物の端(はし)、つまり始まりを意味し、「午」(ご)とは午の日(うまのひ)、「月初の午の日(5日)」という意味です。
古代中国では、旧暦(明治以前の暦)の五月は物忌(ものいみ)の月とされ、なかでも五月五日は「五」という数字が重なるので、「重五(じゅうご) 」と呼ばれ「邪気を払う行事」がおこなわれました。
*重日思想(じゅうじつしそう)
同じ数字が重なることを不吉(いつもと違う)として、邪気を払い、祝うことで「吉」にしてしまう思想。五節句のこと。
1、3、5、7、9、この5つの数字は「奇数」。割り切れない数字=強い数字となり、五節句として定着しました。
邪気を払う薬草として使われた菖蒲(しょうぶ)は魔除けの効果があるとされ、古代日本から伝わり、菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る習慣となりました。
香りの鎮静効果と祓い清めのリフレッシュ効果で、暑い夏を乗り切ろうとする日本の知恵なのです。また葉の形が剣に似ていることから、兜や五月人形とともに飾られるようになり、厄除けとして、家の軒下に飾ったり、枕の下に敷いて寝る習わしもあったようです。
●皐月室礼 「子供の成長を祝う室礼」
室礼は、小さいお子さんの居るご家庭なら、 午前中に買った柏餅を3個、または5個(奇数)お皿(できれば古い)に盛り、お盆(黒、または赤)の上に置きます。
その時、小さな金太郎や桃太郎の置物(陶器)を横に添えると可愛いらしく、リビングや玄関に置いて、三時のおやつにいただきましょう。写真を撮っておくこともお忘れなく。
夫婦二人で、遠くにお孫さんのいる方は、その横にお孫さんの写真など飾り、祝って差し上げるのもいいでしょう。人を想い、祈る形が室礼です。
●皐月室礼 「子孫繁栄の室礼」
また家族が集まる連休は、ゼラニウムの鉢を使います。ゼラニウムは、和名を天竺葵(てんじくあおい)といって、日照りに強い、根が絶えない植物です。家が代々続くように子孫繁栄を象徴します。
瓦は人の上に立つ=立身出世を表し、繁栄を表します。端午の節句は男の子の成長と家の繁栄を祈る室礼です。
お祝いに頂いた兜や人形と組み合わせしつらえてみましょう。